2024.3.4 「医療・介護・福祉とアートのつきあい方を考えるセミナー」を開催しました。
2018年にホスピタルアート活動を始めて以降、さまざまな機会をとらえてこの領域について学び続けてきました。中でも2020年に参加したオンライン講座「なごやヘルスケア・アートマネジメント連続講座」(名古屋市立大学主催)は、各分野の専門家や実践者からさまざまな知見を得たばかりでなく、グループワークで多くの方と知り合い、大きなステップとなりました。そこで知り合った方々と少しずつ対面でお会いする機会もできてきて、プロジェクトにつながったりもしています。
今回の講師の高野真悟先生もそんなお一人で、上記の講座の運営メンバーでした。彫刻家として制作活動に励まれる傍らで、2022年に博士論文「病院におけるアート活動の運用体制に関する研究 : 実態調査に基づく導入と継続の要件」(名古屋市立大学)を執筆されました。病院アートに関する全国調査をまとめられた成果で、いつかお話を伺いたいと思っていました。
今回、「病院におけるアート活動の導入と継続の要件」と題したご講演で、美しいプレゼンテーションとともに博士論文のエッセンスをまとめてご紹介いただきました。日頃から何となく感じていたところを言語化して体系的に整理して下さり、納得したと同時に、新たな気づきも多くありました。また英国の事例からは、サポートの「ぶ厚さ」(高野先生の表現)を知ることができ、並行輸入は無理でも、参考にしながらなんとか体制づくりに活かせればという思いを強くしました。
本セミナーはHAndS(healthcare art hospital art and students)との共催の形を取りました。これは2021年にTHALの代表田中の呼びかけで結成した、全国でヘルスケアアートやホスピタルアートに取り組む/関心がある学生たちの集まりです。現在、コアメンバーとして運営を行っている京都と静岡の二人も徳島に来場し、HAndSの紹介を行い、グループワークのファシリテーターを務めてくれました。そして、以前にHAndSの集まりに参加した徳大の学生ともようやく対面し、交流できました。
講演の後でグループワークを行い、講演の感想や質問について話しながら、参加者自身の実践の紹介や関心を共有しました。これが大変好評で、参加者が少ないグループもあって持て余すのではないかと心配しましたが、「もっと時間が欲しかった」というお声が複数寄せられるほどでした。対面会場のグループも、終了の呼びかけにも応じないほど盛り上がっていました。講演だけで退出された方は残念でしたね。
グループごとに発表してもらった意見からも、このようなセミナーでさまざまな取り組みを知る機会や、関心のある人同士の交流や意見交換の場を求められていることが伝わってきましたので、今後もTHALではこうした企画を行っていきたいと思います。ぜひ情報をお見逃しなく!
記念撮影の背景は、2022年5月にアーティストの西村公一さんの指導の下、学生や地域、企業の皆さんと一緒に制作した作品です。鳴門の渦潮をイメージしたマスキングテープアートです。今度はぜひ対面会場にお越しになり、この大迫力の作品を見にいらしてください!
翌日、この渦潮アートができるきっかけとなった徳島赤十字病院のホスピタルアート(2021年9月制作)の見学に行きました。日の当たる場所ですが、まだまだ美しいまま残っています。また、関連施設のひのみね医療・療育センターにもご案内し、徳島県医療的ケア児等支援センターの作品、小松島市のひまわり会で制作した作品も見ていただきました。わたしたちが取り組むマスキングテープアートの実際についても詳しくご説明でき、良い情報交換の機会になりました。
ご参加いただいた皆様、またご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。