美波病院 階段アートリニューアル

2025.7.12 美波病院の階段アートのリニューアルを行いました。

2020年のコロナ禍からホスピタルアートを導入させていただいている美波病院。待合から職員会議室まで、院内のさまざまな場所の壁面にマスキングテープアートが施されています。最後に制作させていただいたのが2022年の秋。ほぼ3年ぶりに手入れをさせていただくことになりました。

今回は、制作当初からずっと気になっていた階段踊り場のリニューアルです。こちらがこれまでのアート。徳島赤十字病院での制作を応用したハートですが、蛍光灯の光のため、せっかくのビタミンカラーがいま一つ効果を発揮していないなあと思っていました。

この課題を学生に伝え、今回は制作内容は学生に任せることにしました。
濃い藍色のクロスを見て、深海のようだというイメージを持ったようでした。そこで、昨年夏にたくさんの魚たちを制作した経験も生かしたデザインにするということになりました。そこから学生たちは週に2回ずつ集まって、コツコツとさまざまな海の生き物を作っていきました。1年生たちも初めての制作とは思えないほどテープの色の選択が上手く、また貼り方も工夫していました。

壁全体のデザイン案についても話し合っていたようですが、わたしはほぼ関知しておらず、当日の様子を見ながら・・・と思っていました。

当日はまず、院内のアートを見るところから。3年以上経っているとは思えないほど、各所のアートはしっかりときれいに残っていました。制作に関わった学生たちは皆卒業し、初めて同院のアートを見る学生たちばかり。ここ3年ほどは福祉関係の活動が多かったため、これほど大々的にマスキングテープアートを展開していることに驚いたようでした。

そして作業はハートを剥がすところから。わたし自身、すっかり忘れていたのですが、このハートは二層構造になっていましたが、マスキングテープ同士がしっかりとくっついていたおかげで、ある程度大きな塊として剥がれてくれました。剥がしたハートはクッキングシート上に貼り付けて取っておきます。同様に波の部分も剥がします。さすがはマスキングテープ、粘着も一切残っていません。

ここからどうするのか。
学生の想定では、剥がした波を再利用して「光」にするということでした。蛍光灯部分から深海に降り注ぐ光だと言います。なるほど・・・
ということで、まずは波部分をどのように再利用するかを考えました。まずは剥がした波をランダムに細分化しました。そしてそれらを再び壁に配置します。

それから、作ってきた魚たちを仮配置。ここが一番試行錯誤して苦労したところでした。

配置してみて、ものによってはテープを貼り足して色を変えたり、複数を組み合わせて大きくしたりしてバランスを整えていきました。そういう臨機応変な対応ができるところもマスキングテープの良いところです。

完成してみると、当初気になっていた光が逆に生かされ、まさに蛍光灯から深海に光線が下りていくように見えました。これは希望の光。光に向かって泳ぐ生き物たちのように、患者さんたちも希望に向かって治療をがんばってほしい、その勇気を応援できれば、という思いが込められていると知りました。

海の生き物がたくさんできていたので、他の壁面にも少し追加。ちょうど下の階の踊り場に制作していた海岸にウミガメが上陸しました。(本当は上陸するのは田井ノ浜ではないのですが・・・(笑))もともと配置されたお遍路さんが、ちょうどそれを見つめているかのようです。うみがめ博物館のリニューアルオープンに間に合いました。

反対側の壁にも少し生き物が加わり、ゆったり泳ぐウミガメの周りが少し賑やかになりました。

職員さんや患者さんをはじめ、病院を利用される方々に少しでも楽しんでいただければ幸いです。
美味しい給食までいただき、一同大満足の一日でした。病院の皆様、何から何までお世話になりありがとうございました!